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高殿円さんの『せどりの女王』(PHP研究所・2026年6月)を読んだ。本当に面白かった。
主人公が、圧倒的に爽快
まず、主人公のキャラクターが圧倒的に爽快だ。バイタリティがあって、執念もあって、何としてでも這い上がってやるという女性の社長。見ているだけで気持ちがいい。
正直、あまり映像化はしてほしくない。それでも、ドラマや映画で見てみたいと思ってしまうくらい、人物が魅力的だ。
時代を背負った物語
筋道は、主人公が「どうしても許せない、殺したい相手」を探していく話。ミステリーの要素も少しある。壮大な謎解きには見えないのに、けっこう意外な方向へ転がっていく。本の中で描かれるミステリーも最高に面白い。
その背景に、就職氷河期世代や阪神・淡路大震災といった時代のトピックが重なってくる。
『オルロージュ』と並べて読むと
これもスタートアップ界隈を描いている。ただ、同じ時期に読んだ『オルロージュ』が人の内面に深く潜るのに比べると、こちらは時代の勢いをバーッと描きながら進む。
そのうえで、せどりは彼女にとってどういう意味だったのか。会社にとってはどうだったのか。そして、なぜこの時代にせどりが流行っているのか。それを考えるいいきっかけになる。
なぜ、いま「せどり」なのか
せどりという商売は、昔からあった。それでも今これだけ流行っているのは、決して豊かとは言えず、みんなが幸せになるのがどんどん難しくなっている時代だからだと思う。
一見ゴミに見えるものに価値を与える。その行為そのものは陳腐化しない。とてもいい物語を持っている。
社会派小説というわけではない。でも、なぜ不景気の今せどりが流行っているのかを見つめ直せる。今の時代の空気を読み解くには、すごくいい本だ。
まとめ
爽快な主人公と、意外なミステリーと、時代の空気。どれを目当てに読んでも楽しめます。ぜひ。
この記事の値札
値札 2,310円
小説『せどりの女王』(高殿円・PHP研究所)
主人公が圧倒的に爽快。一見ゴミに見えるものに値札をつける話は古びない。値札は定価(税込)。
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