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小川哲さんの『オルロージュ』(講談社・2026年9月)を読んだ。472ページある。それでも一気に読めた。
主人公は、完全無欠の人だった
主人公の桐田さんは、ほとんど欠点のない人として描かれる。新しい技術に高い価値を見つけて、大きな会社、いわゆるスタートアップを作ろうとする。そこまでは、とても素晴らしい。
ところが、ほころびが出てくる。急いで、急いで、お金も人も集まってくる。そして最終的には、破綻してしまう。
企業小説というより、企業の光と闇をうまく描いた小説だと思う。特に目立つのは、光よりも闇のほうだ。
資金調達している会社が、いい会社とは限らない
世の中で評価されているスタートアップが全部そうだ、と言うと言い過ぎになる。それでも、資金調達をしているからといって素晴らしい会社とは限らない。数字の上では収益が出ていても、中身を見ると曰く付きでボロボロ、ということはある。
だからこれはサクセスストーリーではない。でも、「スタートアップ」という言葉になんとなく惹かれて、将来は起業したいと思っている人にこそ読んでほしい。
「オルロージュ」は、大時計
オルロージュはフランス語で「大時計」、つまり時計のことだ。
桐田さんは最後に、何の時間を求めて、何の時間を手にしようとして頑張ってきたのか。その視点で読むと面白い。
お金や名声、他人からの評価は、あとから取り替えがきく。でも、大切な時間は巻き戻せない。AIの時代に一番価値を持つのは時間なんだと、この本を読んで思った。
まとめ
起業やビジネス小説が好きな人なら、もちろん楽しめる。でもそれ以上に、本当に価値のあるものは何なのかを考えるきっかけになる小説だ。いい本です。最高に面白い。
同じ時期に読んだ『せどりの女王』も、スタートアップ界隈を別の角度から描いている。並べて読むと面白い。
この記事の値札
値札 2,585円
小説『オルロージュ』(小川哲・講談社)
472ページを一気に読んだ。起業の光と闇、そして「巻き戻せない時間」の話。値札は定価(税込)。
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