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行っていない山を、拝んだことになった

裏龍脈 / 山形県鶴岡市・羽黒山 / 訪問: 2026-08-29

出羽三山は「生まれかわりの旅」と呼ばれる。羽黒山が現世、月山が前世、湯殿山が未来にあたるとされ、三つを順に歩いて生まれ変わる、という筋書きになっている。

わたしは羽黒山にしか行っていない。

それでも、三山を拝んだことになるらしい。羽黒山の山頂にある三神合祭殿には、月山・羽黒山・湯殿山の三神が祀られている。冬は月山と湯殿山に雪で登れないので、羽黒山に三神を祀ったと伝えられていて、11月以降はここが三山で唯一参拝できる場所になる、と山形県の観光サイトには書かれている。社殿は文政元年(1818年)の再建で、茅葺きの屋根は厚さ2.1メートルあるという。

そして2026年は、羽黒山の午年御縁年にあたる。12年に一度で、この年に参拝すると12年分のご利益があるといわれている、とのことだった。


8月29日

神橋を渡って、五重塔を見て、山頂で御祈祷を受けた。

御祈祷では、わたしが代表になった。理由はよく分からない。ただ、名を呼ばれて前に出たとき、素直にうれしかった。12年に一度の年に、たまたま来て、たまたま代表になっている。そういう日だった。

御祈祷料は2万円だった。12年に一度の年に払って、12年分のご利益ということになっている。1年あたり1,666円。安いのか高いのかは、12年経たないと分からない。

祈祷のあいだ、外はきれいな大雨だった。音が屋根から降ってくる感じで、祝詞と雨の区別がだんだんつかなくなる。

終わって外に出たら、止んでいた。

因果を主張する気はない。雨は勝手に降って勝手に止む。ただ、事実として、そういう順番だった。


帰り道、神橋のあたりで、石段が動いて見えた。

にゅろにゅろ、という感じで、段の線が波打っていた。雨上がりの濡れた石と、杉の間から落ちる光と、こちらの足の疲れ。それで説明はつく。つくのだが、見えたものは見えたので、そのまま書いておく。

羊羹がうまかった。これは説明がつく。値段は忘れた。うまかったことだけ覚えている。


今はこうなっている

湯殿山には行っていない。月山にも登っていない。 それでも、三山を拝んだことにはなっている。

制度としてそう決まっているからで、ずるをしたわけではない。ただ、「行っていない場所を拝んだことになる」という状態が、参拝してから何日か経っても、まだ少し不思議なままだ。

未来(湯殿山)だけ、まだ行っていない。それはそれで、順番として正しい気もする。


値札

  • 御祈祷料:20,000円(12年に一度の年。1年あたり1,666円ということになる)
  • 駐車場:無料
  • 山頂へ上がる道:400円
  • 秋田市から:片道およそ2時間半
  • 羊羹:忘れた

出典(いずれも2026-09-04閲覧)

  • 出羽三山 参拝ガイド/山形県公式観光サイト
  • 出羽三山神社 羽黒山三神合祭殿【令和8年 羽黒山午年御縁年】/やまがたへの旅